human_interface_principles の記事と統合予定
インタフェースの原則としてはさまざまな提案がなされている.これらの提案を参考にしながら,音声の特質の検討の指標として利用しうるインタフェースの原則を提案してきた. ここでは,望まれるインタフェース像を,インタフェースが持つべき機能に関する基本的要求と,それらの機能を組み上げてシステムを構成する際に考慮すべき要求との2つの側面から見直し, インタフェースの基本原則および構成原則として整理する.
ここでは,人間は道具を使って作業を行なうにあたっては,楽に仕事を進めることを何より望んでいるものと考え,この観点から問題を整理する.
「楽である」とは,労少なく操作を実行できること,労少なく操作法について知ることができることの2つに分類できる. また,これらの2つにかかわる重要な問題として,システムの頑健性があげられる.
ここではこの3つの観点を満たすためにシステムが従うべき原則をインタフェースの基本原則とよぶ. また,上述の3つの観点からの要求に応える原則を,それぞれ操作労力に関する原則,透過性に関する原則,頑健性に関する原則,とよぶ. 以下にこれらの原則について述べる.
a.位置移動最少の原則: コマンド入力のために必要な手などの位置移動は少ないほど良い.
b.指定操作回数最少の原則: 一つのコマンドを指定するための操作回数は少ないほど良い.
c.指定操作容易性の原則: 一つのコマンド操作は単純で容易なほど良い.
a.状態理解容易性の原則: システムの状態とそこで可能な命令は容易に把握できる.
b.手順連想容易性の原則: あるコマンドを実行するための操作は容易に連想できる. このため,操作の手順はアプリケーションの内外で一貫性を持ち, コマンド名なども連想しやすいこと.
c.フィードバックの原則: 操作がもたらす結果は,常に予測可能である. 操作には,常に適切なフィードバックを得られる.
a.誤入力防止の原則: システムに対する誤入力はなるべく防止できる.
b.修復容易性の原則: 操作はできるかぎり可逆にし, 誤操作が致命的な影響を及ぼさない. 誤り易い操作に対する修復の操作は特に容易である.
上で述べた基本原則の間にはトレードオフが存在する. 例えば,キーボードでコマンドを入力する場合, 労力最少化の立場からは,コマンド名は短いほどよく, 1回程度の打鍵で一つのコマンドが実行できることが望ましい. しかし,その手順の連想を容易にする立場からは, 求める機能に対応する名称をフルネームでコマンド名とする方が望ましい. このように,どれかの基本原則を立てれば,どれかは立たなくな るといった関係が随所にある.
したがって,上述の基本原則個々を同時に最大化するシステムは存在し得ず, 実際には目的に応じて どれかの原則を重視しながらバランスのとれたシステム構成を 実現しなければならない. 幅広いユーザに受け入れられる入力形態を実現するためには, ユーザの経験や使用頻度,好みなどに応じた最適形態の違いが入力システムに 考慮されていなければならない.
どのような割合でどの基本原則を重視してシステムを構成 すべきかについての指針を インタフェースの構成原則と呼ぶ.
ここでは,構成原則として次の3つを挙げる.
不慣れなユーザのための,透過性の高い汎用入力手段を用意する.
精通したユーザのための,効率的な特化入力手段を用意する.
汎用手段を用いているユーザに対して, 特化手段の存在を知らせる 自然な枠組みを用意する.
これらは初心者に対する閾を下げながらも, 使い込んだときの利便性を重視し, 利用者にいち早く熟練者モードへの移行を促すのが良いという主張である.
インタフェースシステムを成功させるためには, アプリケーションそのものの選択や設計により深く関与し, システムをどのような状況に適合させ, どのように評価や改良を行っていくか, というプロセスが重要になっている.
インタフェース原則を補完するものとして これらを暫定的にまとめたものが, 以下のインタフェースの導入原則である.
使用される現場における必然性を考慮して設計と導入を行う. ユーザに動機付けを与える.
あらゆる年齢や能力の人々に対して 可能な限り使いやすさを提供する (ユニバーサルデザイン) . 使われる状況・環境を考慮する. ユーザ以外の人に悪影響を与えない. ユーザが行っている他のタスクに悪影響を与えない.
妥当な時期に妥当な尺度で評価を行う. 結果を生かして反復的な開発・改良を行う.